Episode 03 私の楽天QAチームでの経験

この連載について


コマースカンパニーでは 「楽天市場」をはじめ「ラクマ」や「楽天ブックス」「楽天ビューティ」「楽天GORA」など 非常に多様なサービスを展開をしており ユーザーの皆様に日々快適に御利用頂く為に、これらのサービスには非常に高い品質が求められます。
我々はこの品質を担保する仕事をQA(クオリティー・アシュアランス:以下、QA)と呼んでおり 「QA)エンジニア」について 3回に渡って連載させていただきます。

 

Episode01

commerce-engineer.rakuten.careers

 Episode02 

commerce-engineer.rakuten.careers

 


最終回となる第三回では コマースカンパニー レジャープロダクト部 サービス品質保証グループSonalより 入社してからこれまでをお話させていただきます。

 

著者について

texh_0003_01


私はインドでさまざまなドメインでQAとして 10年以上経験したのち2018年2月に楽天に入社しました。 私は、サービスベースの会社(テストソリューションを提供する会社)と製品ベースの会社(楽天のように自社製品をもっていてその中のQAチーム)両方を経験しています。 サービスベース、製品ベースの会社では文化や仕事のスタイルが違いますが、私は両方を経験しているので新しい文化に馴染むのは得意です。


楽天に入社して


私はこのチームに3番目の楽天社員として参画しました。 入社してまもなく、チーム内でQAベストプラクティスが少し足りない事に気付きました。同時にインドで学んだテスト方法と当時のチーム内の手法には多くの違いがありました。 一例を挙げると、楽天ではテストケースは非常に詳細に記述されていましたが、探索的テストは導入されていませんでした。 私はインドで10年間現場で探索的テストを実施しており、過去には探索的テストの第一人者と幸運にも会う事が出来、ディスカッションした事も有ります。 これらの経験を元に私が貢献出来る分野が多く有ると考えました。


チームのプロセス

texh_0003_02



我々のテストプロセスを簡単に紹介させていただきます。 チームには担当サービスに関係なく、共通のドキュメント記述方法、テスト計画、テストケース等の品質保証の為のプロセスがあります。 我々には5つの担当サービスが有りますが、その数は年々拡大しています。 新しいサービスのQAを担当する度に、このプロセスを関係者に説明して、共通認識を持ち、QA作業が円滑に進む様にします。 レビュープロセスはテスト計画/設計/ケースが有りますが、テスト設計のレビューはPDM(プロダクトマネージャー)とエンジニアも交えて確認します。その為、開発仕様とテストシナリオに関して、全員が共通の認識を持つことができます。


導入した施策

私がこのチームに導入した施策をいくつか紹介します。 最初はRTM(Requirement Traceability Matrix)です。 これは、テストカバレッジを保証する重要なドキュメントとになります。 RTMを導入する事で、テストカバレッジをステークホルダーに説明するだけではなく、テスト漏れ等のミスも減らす事が出来ます。 我々は欠陥、タスク、ストーリー管理にJIRAという管理ツールを使用していますが、その一方でテストケースと実行の進捗管理する為のテスト管理ツールが別にありました。 RTM導入の際は、JIRAとテスト管理ツールの両方をカバーする新しいツールを導入し、同時にトレーニングをチーム内で実施しました。 また様々なQAカンファレンスでこのRTM事例についてプレゼンテーションを行い 会場にいた多くのQAエンジニアから現場での導入方法等たくさんの質問を頂き、大きな反響を得ました。 次の施策としてはQA・テストに関するバックグラウンドがない新人の為にOJTプログラムを設計し導入しました。 実際、このプログラムで一人の新卒をトレーニングし大きな成長を見る事が出来ました。 このOJTプログラムは将来的には楽天全体で使用出来ればと考えています。


進め方

texh_0003_04



私たちのチームでは新しいプロセスまたは既存のプロセス変更について議論が必要な場合、社員全員で話し合います。それぞれ異なるサービスを担当している為、過去の経験や意見・視点を持ち寄りブレーンストーミングを行い、最終的にはチーム内でベストと思えるソリューションを選択していきます。


達成


上記のプロセスを経て、私は入社して3か月で、楽天内で優れた業績者に対して与えられるNew Joinee Awardを受賞し、大変嬉しかったです。 また部署内のMIP(Most Impressive Person)賞にも複数回ノミネートして頂きました。


次にチャレンジしたいこと TPI(テストプロセス改善)


我々の活動に終わりはなく、この瞬間もプロセスを見直し、どのような改善ができるか日々試行錯誤しており、新しいツールやテクノロジーを使って改善できないか、新しいアイデアを常にチームで考えています。例えばAIはQAの世界にも広がっており、近い将来AIを我々のテスト活動に組み込んでいく可能性を模索しています。 私はこのチームの可能性を信じており、引き続きチームと共に成長していきたいと思います。